Gene conversion のreview

Gene conversionのしくみ
①DSBR(Double strand break repair) model (図中a-b-d)
1.DSB(Double strand break)ができるDSBのできる要因

 Meiosisではtopoisomerase like enzyme(SPO11)が関与
 Mitosisではradiation(放射線照射), 停止した複製フォーク、あるいは特殊なendonuclease (例えばイーストのMATgeneをスイッチする為にはたらくsite-specific HO endonucleaseなど)

2.5’ to 3’ exonucleaseにより分解されると、アクティブな3’ end ssDNA tailが形成される

3.このtailが相同配列のhomologousな領域をスキャンする。見つけるとdouble strand の間に入り込み、結果としてD-loop状態を作りだす。
このD-loopは入り込んだ配列が入り込まれた配列を鋳型にしてDNA合成されることによって拡大する。

4.DNA合成が、DSBとexonucleaseによってできたもう一方の3’ ssDNA tailと相同な領域まで達すると、拡大したD-loop部分がこの3’ tailと結合し、今度はD-loopを鋳型にして合成が進む。
5.最終的に合成が完了し、元の配列とligationすると、二つのHoliday junctionをもった交叉したDNA4量体の中間段階が生じる。

6.これらのHoliday junctionがHj resolvaseによってランダムに切られ、結合される。
その結果Non-crossover (gene conversion)とcrossoverの配列がほぼ同数生まれる事になる。

*これらのDNA合成やligation などはDNA mismatch repair機構によって行われるとかんがえられている。

しかし、実際はCrossoverが圧倒的に少ない(<8%)
⇒別の経路の存在を示唆

②synthesis-dependent strand-annealing (SDSA) model (図中a-c )
4.のDNA合成がある程度進んだ段階で3’ ssDNA tailが離れ、もとの配列に戻ってアニーリング。両鎖が修復されると、gene conversionした配列ができる。

**どのように①と②がおこるのか?
そもそも、むき出しになった3’ ssDNA tailはRecA(Replication protein A)というタンパク質にコートされて、活性化されるが、なかでもRad51というタンパク(E.coli RecA strand-exchange protein like)はGene conversionに大きな役割を持っていると考えられている。
Rad51は複数のパラログの産物と複合体を形成し、ssDNAと結合したり、Hj resolvaseと結合したりすることがわかっている。
YeastではSrs2 helicaseというタンパクがこのRad51をssDNAから取り除く事で、dsDNA へのinvasion が阻害されて、(あるいはinvasion状態が解かれて)SDSAへの経路の変更が起きるということがわかっている。

また、BLM(Bloom syndrome helicase; RecQ family)はD-loopをのばしつつ、invadeしたssDNAを乖離させる働きを持っていて、これが働いてSDSAがおこることもあると考えられている

さらにRad54はD-loopを拡大したり縮小したりする働きがある。もし拡大させる方に働けば、D-loopが安定化し、DSBRがおこりやすくなる。縮小すれば、結果的にinvasive strandを排除して、SDSAを起こしやすい状態にする。

③ほかにも、single strandにnickが入っておこるモデルも考えられているらしい。どちらが一般的なのかは不明。

Gene conversionとGC
減数分裂時のheteroduplex状態でA:CやG:Tといったミスマッチを修復する際に、GCに偏って修復される。従ってGやCを持つアリルが多くなりやすい。Gene conversionはこうした修復プロセスを経て行われるから、Gene conversionがおこるところではGC richになりやすい。実際、homologousなパラログを持つ遺伝子ファミリーは持たないものよりGC%が高い。さらに、高い組換え率を持つ染色体領域はGC richになることが知られている。
(この説明だと、「Gene conversionや組換えが多くおこるから、GC richになる」ことになる。その結果、コドンバイアスも高くなるのか?)